まりりん薬局のぶっちゃけ話

薬局でなかなか聞けない、聞いても答えてもらえない。そんな皆さんのハテナに薬剤師まりりんが率直に答えます!

言葉は複雑① 抗生物質=抗生剤≠抗菌剤

薬剤師と患者さんとの間では薬の用語についての認識が異なる場合が多々あります。そんな表現の違いについて考えるシリーズ、第1弾です!
まずは抗生物質と抗菌剤。両方とも菌を殺す薬という意味では同じグループの薬ですが、厳密には分類の異なる薬です。
ざっくり分けると、抗生物質は「微生物が作り出した物質」、抗菌剤は「ヒトが人工的に作り出した物質」です。抗生物質は抗生剤とも呼ばれます。
でも、そんなことは患者さんにとって重要でないことがほとんどです。抗生物質が怖いと思ってる患者さんに「抗生物質はどれですか?」と聞かれれば、たいてい薬剤師は抗菌剤を指差し、「これですよ」としゃあしゃあと言います。
これは適当にあしらってるわけではありません。こういう患者さんの質問が意図してるのは、「抗生物質っていうコワイ薬、副作用の強そうな薬はどれかしら?」ということであり、「今日出てるのは抗菌剤と抗生物質、どっちかしら?」なんてことは滅多にないからです。
そして求めているのは、これらの違いを延々説明されることではなく、気をつけるべき薬はどれかを教えて貰うこと。たくさんの患者さんがいらっしゃる中、説明できる時間は限られています。些細な誤解を解くよりも、患者さんが気にしていることを優先して答えているのです。